22:18-8:42 B番

今日はEさんがA番で、S君がC番だった。出勤してレジに入るや否や即、レジ大行列。「えっ?明日って祝祭日?今日って金曜?土曜?」と思うが、どう考えても今日も明日も平日だ。まだ7日なのに12月ってだけで、何故こうも忙しいのか?先が思いやられた。

どうにもレジが混むのでC番のS君が何度もレジに走ってきてくれたが、S君の「お待ちのお客様、こちらのレジへどうぞ」という呼びかけにも、がんとして動かずに私のレジに並んでいる人がいるようなので見てみると、憧れのオーナーシェフ様だった。

チラ見した時に「あらっ!カッコイイお客さんだわ(はあと)」とチェックしていたが、それが髪を切ったオーナーシェフ様とは気付かなかった。ドライアイで右目をやられている為に、右斜め前が非常にブレて見えにくかったからだ。

前歯の差し歯が取れている為、口を閉じたまま微笑んでオーナーシェフ様をお迎えすると、「すみませんが、領収証を」と、お名刺を出されたが「いつもの○○・○○○○ー様で宜しいですか?(お店の名前なんてもはやスペルまで覚えましたわよ)」とたずねてみた。

オーナー様「はい。あっ、あの!名刺、貰ってやって下さい」

みかやん「えーーーっ!頂けるんですか!あ、ありがとうございますーっ!ひゃあもう感激です。あ、かっ、髪を短くされたんですね」

オーナー様「はい。年末年始で忙しくなるので切りました」

みかやん「素敵で・・・あわわ。お、お店のほうへお邪魔させて頂きますので、宜しくお願いします!」

オーナー様「はい。是非!お待ちしております」

すっかりうわずってしまってお恥ずかしい限りだ。オーナーシェフ様がニッコリと微笑んで下さったので、腰砕けも腰砕け、失神寸前だった。失神バンドに失神するファンの気持ちが、よ〜く分かった。その後は大はしゃぎで「S君!S君!今かくかくしかじかで名刺を・・・」と「Eさん!Eさん!今・・・」と感激を伝えまくった。

Eさん「時々お見えになるセンスの良いセレブな感じの素敵なお客様ですよね」

みかやん「はい!はい!そのとおりです!品が良くてセンスが良くて清潔感があって、めっちゃイケてるんですけど笑顔があどけない感じで、性格の良さが滲み出てて、話し方も声も優しくて。。。ああぁ(息切れ)」

Eさん「大丈夫ですか?あはは!それほどまでにご執心なんですね」

みかやん「今日は、どんな困難にも耐える自信があるので、辛い事があったら私に言って下さいね!私が代わって困難に立ち向かいますからっ!もう、なんなりと申し付けちゃって下さい」

暫くはレジの上にお名刺を飾り、デレデレ&ウットリしていられた。お名刺を休憩室まで持って行ったが、白い手袋をはいて扱いたいほど、私にとってはお宝だ。オーナーシェフ様の指には結婚指輪が光っていて、奥様らしき方とご来店された事もあったが、そんな事は問題ではなくて、手の届かない憧れの大スターにほんの少しだけ手が届いたみたいなので充分なのよ。

デレデレしている間に朝になり、S君が珍しく神妙な顔をして近付いてきた。

S君「俺、今日、みかやんと最後なんですよ。お世話になりました」

みかやん「えーっ1今日でお別れでしたっけ?そんなぁ。いえ。私の方が、お世話になりっぱなしで。何と言ったらいいか、私の事を守っていてくれた事や、私の事をかばっていてくれた事は、ちゃんと分かってましたから。ありがとうございました。最後になっちゃってすみません」

S君「やっぱ、みかやんて大人ですよね。俺だったら逆ギレしてとっくに辞めてたと思うんですよ。俺のやってた事なんか、お見通しだったんですね」

みかやん「どうきりだしていいか分からなくて。私達は今も、こんなふうに主語の無い会話をしてますけど、同じテーマについて話してますよね?」

S君「もちろん、そうだと思います」

みかやん「S君の明るさや優しさに何度も救われました。心配ばかりかけて、S君まで楽しくなかったんじゃないかと思うと、もう・・・もう・・・」

S君「湿っぽくならないで下さいよ〜」

泣き崩れるところだった。やっぱりS君は私が思っていた以上に、私の事を庇ってくれたり、守ってくれたりしていたのだろう。仕事の面でも私はド素人でS君に何の恩返しも出来なかったし、年長者としてもS君に何もできなかった事が悔やまれた。S君、ごめんなさい。S君、ありがとう。お元気で。

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